

設立趣旨
徒弟制度が許されなくなったという社会的な理由に加え、日本経済のバブル崩壊による工務店衰弱が30年後の現在も続き、宮大工の育成が進まず、若い世代の宮大工が激減しています。 そのため、1400年も継承され続けた宮大工の技術が、継承の危機に瀕しこのままでは消えて無くなります。 宮大工の木造技術は、神社仏閣という日本文化と日本人の精神性の高さの中核を支える貴重なものです。また、昨年、ユネスコの世界無形文化財に選ばれるなど、元祖カーボンニュートラル建築としても世界的にも高く評価されています。このように1000年以上の継承による貴重な宮大工の技術は、次代に正統に継承される必要があります。 宮大工の技術が引き継がれていくためには、宮大工の育成に一層力を入れ、若い世代の宮大工が増えることに加え、「地材地匠」により地域の神社仏閣が維持されることが重要です。また、宮大工の技術は様々な形で社会に貢献し得るため、それを推進することにも大きな意義があります。 私たちはこれまで、宮大工の事業を営む中で、若い世代の雇用・育成、「地材地匠」の推進、宮大工の技術の魅力発信などを行ってきましたが、これらを一事業者として単独で進めることの難しさを痛感しています。本来、文化価値のある建造物とは地域の多くの人々が関わることにより文化として成り立ちますので、地域の一人でも多くの人に文化継承できればと考えております。 そこで今後は、宮大工、職人十職、建築関係や横浜神奈川間伐材の関連事業者、神社仏閣歴史的建造物関係者、行政、大学、学生、地域住民、シルバー人材、困難を抱える若者、障害をお持ちの方々など幅広い地域の関係者と連携して、地域創生及びサーキュラーエコノミーの実践として、①宮大工育成・宮大工技術継承、②宮大工・職人十職と産学官民による地域活躍促進、③地域の神社仏閣や歴史的建造物の維持継承への協力と相談・研究、④宮大工の技術の魅力発信、宮大工の元祖カーボンニュートラル建築普及、宮大工の技術による古建築や空き家の再生活用、宮大工神社仏閣バリアフリー計画に総合的に取り組んでいくこととしました。 社会の信頼・共感を得て、様々な関係者と幅広く連携しながら、宮大工の技術の継承に向けてより深く且つ持続的に取り組んでいくための特定非営利活動法人です。
1 事業活動方針
法人設立を機に、宮大工育成事業を立ち上げ、宮大工志望の者を迎えるとともに、一般の建築大工や市民の方に向けた講座も開設。 宮大工と地域の職人十職(注1)を中心に産学官民医が連携した地域創生の取組でもある「地材地匠」(注2)による神社仏閣の建築・維持管理の仕組みづくりを進めるほか、地域の神社仏閣その他の歴史的建造物の維持継承に協力する取組及び宮大工の技術の魅力発信・普及・活用の取組をする。
2 事業内容
(1)特定非営利活動に係る事業
① 宮大工育成・宮大工技術継承事業
ア 宮大工を志す方向け (上級コース)・内 容 宮大工になるための弟子入り、運営、認定・資格証発行
・受益対象者 宮大工を志す方 ※困難を抱える若者の受け入れも検討。
その他(見学や企業研修などに参加される方)
イ 建築大工向け 宮大工による技術向上指導(棟梁コース)
・内 容 一般の建築大工を対象とする技術向上講座の開催、認定・資格発行
・受益対象者 技術向上を目指す建築大工の方 (各回4名×2回)
ウ 市民向け 宮大工によるDIY講座(初級コース)
・内 容 一般市民の方を対象とするDIY講座の開催、認定・資格発行
・受益対象者 DIY技術向上を目指す方 (各回4名×3回)
エ お子様向け 子ども宮大工1000人プロジェクト
・内 容 5歳~18歳を対象とする宮大工体験を開催、認定メダル発行
オ 宮大工大人の学校(リカレント教育コース)
・内 容 子どもの頃なりたかった夢を今こそ実現する。「大工さんになりたかった」
60歳からの宮大工弟子入り入門に挑戦で自分のこだわりにかけてみる。
自分の人生の中で1つ大きなものを作る達成感を共に味わう宮大工大人の学校、認定・資格発行
② 産学官民医と職人連携地域活躍促進事業
・内 容 神社仏閣の建築・維持管理が「地材地匠」で行われるための仕組みを関係者の協力・参加を得て作り、産学官民医SDGs連携で実践する。文化的建造物と地域を宮大工と職人の技で結び、産学官民医連携型の地域創生型ニュービジネスモデルとして横浜・神奈川からスタートし、日本全体の活気を上げることにもつなげていく。「おかかえ宮大工とおかかえ職人十職システム」・受益対象者 横浜近郊神奈川県内の神社仏閣若しくは
歴史的建造物所有の団体 1団体×3回
宮大工と職人十色
※シルバー人材や障害をお持ちの方の雇用・活躍も含む。
③ 地域神社仏閣・歴史的建造物維持継承協力事業
・内 容 維持継承の危機にある地域の神社仏閣やその他の歴史的建造物に対して、相談・設計・施工・耐震・研究・工事代金の補助金制度・保存協力・維持資金応援・年間業応援等の維持継承に向けた協力を産学官民医ローカルSDGs連携で行う。絶滅寸前の古来伝統技術の研究と技術復刻を行う。・受益対象者 横浜近郊神奈川県内の神社仏閣若しくは歴史的建造物所有の団体
④ 宮大工技術魅力発信・普及・活用事業
・内 容 世界最高峰の宮大工木造技術は元祖カーボンニュートラルであり、一般市民や世界各国からの理解・共感を促進するため、産学官民医連携の上、宮大工の技術の魅力と社寺建築や日本建築の日本文化を国内外に発信(宮大工アート、宮大工ツーリズム、宮大工神社仏閣歴史的建造物での茶の湯、和楽器演奏などのチャリティーイベント開催)するとともに、宮大工の技術による建築の普及や古建築・空き家の再生活用。宮大工による神社仏閣ユニバーサルデザイン参拝バリアフリー計画を行う。+宮大工による森林保護・間伐材事業・植林活動。・受益対象者 市民、国内外からの観光客・修学旅行生・企業研修等 障害をお持ちの方
(注1)「職人十職」とは、神社仏閣の建築・維持管理に関わる大工、石工、左官、彫師、庭師、鳶、屋根職人、建具職人、畳職人、電気水道技術者、茅葺職人、漆職人、等を指す。
(注2)「地材地匠」とは、地域の材木や材料を使って地域の職人が施工し森林保護をする。(本事業における地域の材木には、横浜にとっての水源地帯の森林から間引きした間伐材を含む。)小規模事業者連携型のローカルSDGsに該当。